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コスタリカの真実

2010年06月28日 16:27

護憲派の集会では、よくコスタリカを「日本の憲法9条を実践している国」「軍隊の持たない平和な素晴らしい国」と持ち上げて取り上げます。

伊藤千尋氏なんかは、その代表の一人でしょう。
http://www.magazine9.jp/interv/chihiro/index.html
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20050808.html
これを読むと、本当に素晴らしい国で、日本もそうなって欲しいと誰もが願うでしょうね。

「日本における唯一のフリーランスコスタリカ研究家」を自称される足立力也氏なども、
『「丸腰国家」コスタリカの真実』という本などを出している。

で、そんな素晴らしい国なら移住しようという日本人が増えているらしい。
ところが、行ってみると治安は悪いわ、貧富の格差は酷いわで、全然イメージが違ってると怒り出す方もいると聞く。

いや、実際にその素晴らしさをツアーで見学して来た。という方もいらっしゃる。
しかし、それはプログラムされた観光であり、本当の真実を見て来た訳では無いのだ。
おまけに、とかく自分が受け容れたくない事実は見ようとしないものである。

では、本当のコスタリカの姿とはどんなものなのか?
を知りたければ、まずこちらの加瀬氏のサイトをお勧めする。
http://www.japancostarica.com/paper/index.htm

加瀬氏は、コスタリカに15年以上住み、コスタリカの旅行専門会社を経営されている方で、コスタリカの裏も表も知り尽くしている方である。
この加瀬氏が、日本で流されてるコスタリカ美化論について書かれているコラムがある。
加瀬氏ご本人のご意見も大変参考になるが、それに加え、

中南米研究者として著名な新藤通弘氏の論文や、

ラテンアメリカの歴史などの研究者で、自身もコスタリカで大学院を過ごし、「コスタリカの歴史」というコスタリカの教科書の和訳本を出されたりしている小澤卓也氏の論文 などを紹介している。

これらの3人に共通している視点は、「ありのままに見る」という事だろう。
良いところだけを抽出して美化したり、悪いところだけを抜き出して非難したりなどしない。
これは、硬い表現をすれば「科学的に見る」という事である。

こうした方たちの冷静な視点からの論文を読むと、伊藤千尋氏や足立力也氏の展開している「コスタリカ美化論」の危うさ、これを護憲運動で展開することの危険性を強く感じざるをえない。
これらは、陰謀論ですぐに語りたがる平和運動家と共通の危うさを秘めている。 

最後に、私が特に感銘を受けた小澤卓也氏の論文中の一文を紹介しておく。

コスタリカを参考にして日本の平和を再考する試みは、すばらしい。だが、そのためにはコスタリカの「平和」の長所と短所を客観的に見きわめるところから始めなくてはならない。平和社会を目ざすコスタリカ人の姿から謙虚に学びつつも、同時に彼らが抱える問題点もしっかりと受け止め、その解決についてともに考えていく姿勢が求められる。私たちがなすべきことは、コスタリカの「平和物語」に浸って現実逃避することでもなければ、「ほめ殺し」を介してコスタリカの人びとと浅薄な連帯を築くことでもない。日本とコスタリカのあらゆる人びとの平和のため、友好的で相互協力的ではあるが、生産的な相互批判の精神も失わない二国間の「大人の関係」を構築することが急務なのである。


コメント

  1. 医療労働者 | URL | CZ5njbp2

    勉強させてもらいます

    Looperさん、はじめまして。

    松竹さんのブログで「平和憲法が大事だという点では同じでも、伊藤千尋氏が語るコスタリカのデマを私は認めない」というコメント(5/17)を見てから、ずっと気になっていました。

    私の周りでも「軍隊を持たない国コスタリカ」的なイメージ(そういう風にいう人)しかなかったので、リンク先のページ、しっかり読んでみます。

    これからもいろいろ勉強させてください。

  2. Looper | URL | QpqRtz9Y

    Re: 勉強させてもらいます

    医療労働者さん、コメントありがとうございます。

    > 松竹さんのブログで「平和憲法が大事だという点では同じでも、伊藤千尋氏が語るコスタリカのデマを私は認めない」というコメント(5/17)を見てから、ずっと気になっていました。

    私も、以前からこの記事を書かないといけないなと思っていました。
    世間に流布している、あまりにも美化しすぎたコスタリカのお話は、ほとんどデマのレベルだと憂慮しておりましたし、こうした告発は、護憲派側からこそすべきであると思っていたからです。

    > 私の周りでも「軍隊を持たない国コスタリカ」的なイメージ(そういう風にいう人)しかなかったので、リンク先のページ、しっかり読んでみます。

    是非、読んで見て、感想などお聞かせください。

    加瀬さんも小澤さんも、コスタリカとコスタリカの人々が大好きなのです。
    小澤さんなんかは、コスタリカは第2の故郷だと言っています。
    そんなお二人が、怒りを込めて「コスタリカ異常美化」の現状を批判するのはなぜなのか?
    という事をお分かりいただきたいと思います。

    あのような現実と乖離した上っ面な「美化」は、結局、生のコスタリカの人々ときちんと向き合っていない、コスタリカの本当の素晴らしさにも、彼らの本当の苦悩と闘いの歴史になんら寄り添うものではないという事なのです。

    はっきり言って、コスタリカの人々をバカにしている行為に他ならないのです。
    コスタリカを心の底から愛する彼らだからこそ、そうした行為が許せないのです。

    そして、ありのままのコスタリカの現実や歴史や人々を知ること、美化論を排除して本当の連帯を築くこと、
    これが護憲運動をお花畑と揶揄される浮ついたものから、真に地についた運動になっていくために、とても大事なことなのだと思っています。

    だから、どうしてもこの問題は譲れないのです。

    > これからもいろいろ勉強させてください。

    こちらこそ、いろいろ教えてください。

  3. sv400s_dracin | URL | D5RCfEpY

    興味深い記事でした

    Looperさん、こんにちは…あっちこっちでサッカー好きだと広言してるので、すっかりサッカー(偽)大家のsv400s_dracinです…
     リンク記事を一通り読んで、日本で流されてるコスタリカ美化論を始めて知りました…コスタリカは非武装云々ってのは知ってましたけど…私は、物事をものすごーく偏った方角から浅くみてますので…そんなに大層な国だったかなぁって思ってました…中立ってこたぁないだろう、中米の国が「中立で無事にいられるはずない」というイメージがあります…アメリカのおっかないところは、中米の国になら、何をしてもいいと思ってんじゃないかつーうくらい酷いことをしてる歴史がありますよね…あそこに国が存在する限り、中立では生きていられない と
     「伊藤千尋」さんや「足立力也」さんは、(強引ですけど)私と似てるなぁと思いました…ずれた話で申し訳ないですけど…私、サッカー好きです…やったことがない人よりはもちろん詳しい…我が家のテレビはスポーツか、映画ってくらい特化してます…普段からスカパーで欧州リーグから南米リーグまで見てます…サッカー戦術やテクニックの本や雑誌も図書館でよく借りてます…webでサッカー関連の掲示板もチェックしてます…知識だって尋常じゃないと思います…オタクって、こーいう事をいうんだろうなぁって、相当自覚してます…プレー自体は30代半ばで、腰を痛めてからすっかりごぶさたでダッシュさえも無理ですけど…
     だからといって、その国に詳しいわけでも、行った事があるわけでもありません…サッカーでその国の一面だけを知ってるだけです…サッカーが好きすぎて、その国をしってるような錯覚してしまうんですよね…地理が超苦手だったのに、サッカーの強国っていうだけで、国の名前と国旗を覚えてしまうだけでなく、若干の国内事情を知る機会も多々あるわけです…サッカーついでに覚えてしまうわけです…で、その国を知った気分になる…サッカーを理解して欲しいばかりに、ちょっと(どころでない)美化して話したりすることもあります…これって、本当はサッカーやサッカー強国の闇の部分を相当隠してます…たとえば、サッカーはアメリカのプロスポーツなど比でないほどの一種の人身売買が行われていること…団体毎の個人の権利規約が厳しいアメリカでのプロスポーツでは考えられない行為…転売目的で選手を漁ったり…例えば、カメルーンは欧州で100人以上プレーしてると思うけど、弱年齢層時に、(よい言葉でいうと)スカウトされて欧州に渡る…ただし、欧州圏の選手に対してこの行為は禁止されてるというだけで、その実態は推測できる…
     ってことを連想しました…相当、ずれてるけど、私なりに考えます…こんなコメントありですか?

  4. Looper | URL | QpqRtz9Y

    Re: 興味深い記事でした

    sv400s_dracinさん、いつもありがとうございます。

    > Looperさん、こんにちは…あっちこっちでサッカー好きだと広言してるので、すっかりサッカー(偽)大家のsv400s_dracinです…

    私も実はフットサル遊びをしてましてサッカー好きなんですが、sv400s_dracinさんには完敗です。
    それにしても、ドイツの速さと強さにはビックリです。

    >  リンク記事を一通り読んで、日本で流されてるコスタリカ美化論を始めて知りました…

    沢山ありましたのに、読んでいただきありがとうございます。
    現在、護憲集会や書籍で流されているコスタリカ美化論は異常です。
    良い点を積極的に評価するというレベルではありません。
    逆に、コスタリカ人民を抑圧するために為政者が利用したプロパガンダをそのまま美化論で使ってしまっていたりと、コスタリカ人民を侮辱する内容すらあります。

    >  「伊藤千尋」さんや「足立力也」さんは、(強引ですけど)私と似てるなぁと思いました…
    <中略>
    >  ってことを連想しました…相当、ずれてるけど、私なりに考えます…こんなコメントありですか?

    いや、よく分かります。
    自分の正当化に都合の良い論理に甘くなる傾向は、sv400s_dracinさんに限らずとも誰にでもあると思います。これに流されないためには、自分を常に客観視する、反対側からも見ようとする努力を怠らないことしか無いように思います。私が加藤周一さんを尊敬するのは、そうした視点とバランスを失わなかった数少ない方だからです。あのようになりたいとは思いますが、なかなか足下にも及びません・・・

    私は護憲運動にこうしたものは必要ないというのは、内部批判として出すことが大事だと思っています。某所で、こうしたメンタリティーからの発言を批判し続けるのもそのためです。

    で、こういうのって、どうにも左翼に多い科学リテラシー(=正確にありのまま理解しようとする態度)の欠如と結びついているような気がしてならないんですよね。

  5. 医療労働者 | URL | 62v6H59g

    知的誠実さが問われていると思いました

    すっかり遅くなってしまいました。
    自分でコメントしておいて、すみません。

    新藤・小澤両氏の論文や加瀬氏のコラムを読んで、日本でのコスタリカ論の異常な美化と、それがコスタリカの国や民衆の実態・問題点を覆い隠してしまっていることが、具体的につかめました。
    Looperさんの怒っている理由が、よくわかります。
    たとえば、小澤氏が以下のように仰っている部分ですよね。

    以上のように、共産主義者、人種・民族的な少数派、貧困者など、コスタリカの社会的弱者が置かれている深刻な現状を考慮するならば、コスタリカの「平和」を神話化することがどれだけ罪深いか分かる。なぜなら、それによって私たちは、苦痛にもだえるコスタリカの人びとから目を反らし、その助けを求める声に耳を傾けることができなくなってしまうからである。安易な「平和」賞讃はコスタリカ国内の人権侵害を助長するということに、私たちはもっと注意を払う必要があるだろう。

    伊藤千尋氏の「マガジン9」でのインタビューも読みましたが、主観的な善意(護憲運動にいかそう)はわかるとしても、新藤・小澤両氏の論文を読んだ後では「客観的な事実をねじ曲げて伝えている」と思わざるを得ませんでした。

    「マガジン9」編集部も、わざわざ「「軍隊のない国」として脚光を浴びる一方、インターネット上などではコスタリカへの批判の声も目立ちます。軍隊はないけれど警察が軍隊なみの力を持っている、アメリカに基地を提供している、軍隊なしでやってきたのは親米路線をとってアメリカに守られてきたからだ、など…」と質問しておきながら、伊藤氏が「そのほとんどは、批判というより間違いだらけの誹謗中傷ですね・・・云々」と応えると、それ以上の検証を行わない。
    インタビューだから最初から結論は決まっているのでしょうが、非常に無責任な感じを持ちました。

    私も、事実を知った以上、身近な人たちだけでも何とか事実を伝えていきたいと思います。
    日本の護憲運動、左翼運動の「知的誠実さ」とでもいうべきものが問われる問題だと思います。

    それと、コスタリカについては、モンへ大統領の政策判断やコスタリカの国民意識の関係など、より興味がわいてきました。
    伊藤氏などが一面化・単純化して伝えていることよりも、遙かに多面的で複雑な選択だったことが、とりあえずはわかりましたので、今後さらに勉強してみようと思います。

    Looperさん、今回は本当にいい勉強になりました。ありがとうございます。
    松竹さんのブログでも(よくわからない方たちもいますが)どんどん刺激的なコメントをしてください。
    期待しています。

  6. Looper | URL | -

    Re: 知的誠実さが問われていると思いました

    医療労働者さん、わざわざありがとうございます。

    > 新藤・小澤両氏の論文や加瀬氏のコラムを読んで、日本でのコスタリカ論の異常な美化と、それがコスタリカの国や民衆の実態・問題点を覆い隠してしまっていることが、具体的につかめました。
    > Looperさんの怒っている理由が、よくわかります。
    > たとえば、小澤氏が以下のように仰っている部分ですよね。

    はい、まさにそれです。
    自分の伝えたかったこと、また小澤さんたちの思いをしっかり受け止めていただいたことに、まず心より感謝いたします。

    > 伊藤千尋氏の「マガジン9」でのインタビューも読みましたが、主観的な善意(護憲運動にいかそう)はわかるとしても、新藤・小澤両氏の論文を読んだ後では「客観的な事実をねじ曲げて伝えている」と思わざるを得ませんでした。

    伊藤氏もそうですが、足立氏はそれ以上に酷いと思っています。

    > 私も、事実を知った以上、身近な人たちだけでも何とか事実を伝えていきたいと思います。

    本当にありがとうございます。いや、ホントに嬉しいです。
    加瀬さんや小澤さんも、それを知ったら心から喜ばれるんじゃないかと思います。

    > 日本の護憲運動、左翼運動の「知的誠実さ」とでもいうべきものが問われる問題だと思います。

    全くその通りです。
    その「知的誠実さ」の問題は、あちらでの原発問題での議論でも示した「科学リテラシー」の問題と根は全く同じだと思います。自分の都合の良い事実だけを恣意的に取り上げて論を構築するというのは、科学の世界では恥ずべき事とされています。事実を誠実に多面的に分析するというのは、科学リテラシーとして不可欠であり、それこそが「知的誠実さ」を示す行為なんだろうと思います。

    そして、これは、今松竹さんのところで議論となっている共産党問題とも共通点があるように思っています。
    結局、真に「科学」の党になっているのか?という事が問われているのだと思います。そのためには、内部民主主義の徹底が不可欠なわけで、それなしに科学的検証はできようはずがないのですが、上部機関に対する異論を内部で広めることさえ「分派活動」「規律違反」としてしまうような今の民主集中性の運用の元では、「科学的検証」なんて出来るはずがありません。この間の異論を排除することで、統一を守ってきた歴史が、結局の所、今の組織の弱体化、退潮傾向を生んでしまっていると思えてなりません。

    > Looperさん、今回は本当にいい勉強になりました。ありがとうございます。

    いえ、こちらこそありがとうございました。
    あなたのように何事にも誠実に向き合う党員を見ていると、これが真の共産党員の姿だよなと思えます。
    某所での偽物たちとはまるで違う本物の共産党員、真のコミュニストに出会えて、本当に嬉しいです。
    今後とも、どうかよろしくお願いいたします。

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