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『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』(1)

2010年04月02日 09:29

伊勢崎賢治氏が新しい本を出された。

で、実はこの本の編集に係わった「お玉おばさん」と、企画をされた「超左翼おじさん」から、本が出たらぜひ書評をブログに書いて欲しいと以前よりお願いされていた。というか、お願いされなくても楽しみにしていた本だったからどうせ読むつもりだったのでお引き受けした。まー、もっともこんな過疎ブログに書いても宣伝効果は無いに等しいとは思うけどね。(笑

アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせるアフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる
(2010/02/16)
伊勢崎 賢治

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で、実はずっと以前に書き終えていたのだが、どうもなんかこの本の凄さをうまく表現出来ていないなという思いが強くて何度も読み直したりした。でも、自分の文章能力の無さを諦めてアップします。また、ちょっと長いので、2回に分けることにします。

この本は端的に言えば、アフガン平和構築のために真剣に実際に行動し続けている伊勢崎賢治氏の活動の中間報告書だ。そして、この本で示された提言実現のために氏は引き続き行動している。この氏の提言を我々がどう受け止め、具体的に氏の活動をどう支援できるのか?が、読者に問われているように思う。

で、第一印象は、やっぱり伊勢崎さんは、建築が元々専門だけあって発想がアーキテクトだと思った。
一見実現不可能と思える難題でも解のアイデアを出し、それを具体的化、現実化させるようデザインしていく。
まるで「劇的ビフォ―アフター」に登場する色んなアイデアで難問解決しちゃう建築家のように、アフガンの難問解決への具体的なアイデアを構築していく。

主な内容は、現在のアフガン情勢を分析し、それをベースにしたアフガン平和構築の構想と、その実現のために開いた「11・23東京会議」の報告などだ。とりわけ、日本主導で国連を動かし、非武装自衛隊を軍事監視に派遣する案を提案している。アフガン国民の日本への信頼(「美しき誤解」かもしれないが…)を要にした「SSゾーン構想」である。
私は、以前に2回の記事で、オバマ戦略については、何を目指しているのか?をきちんと理解してから批判すべきであり、「米軍はすぐに撤退せよ」とか、「増派=戦闘拡大」などという思考での単純批判では、なんらアフガン問題の解決には繋がらないと主張してきた。

この点は、奇跡と言われている北部同盟の武装解除を実現した伊勢崎賢治氏自らが、それによって「力の空白」が生まれ、タリバンの反撃を許してしまったという苦い経験からも、次のように述べている。

「米軍・NATO軍を即時撤退させるなんていうのは、理想にするのはいいが、実務レベルでは、荒唐無稽である。だいたい、急に撤退してしまったら、北部同盟の武装解除の時のような「力の空白」の問題を引き起こす。そのことによって、再びタリバンを含む内線が勃発するのは確実であり、どれだけの市民が犠牲になるのか、計り知れない。」

まさにその通りなのだろう。
平和を願う心は尊いが、現実に脅威が迫っている状況で、その「抑止力」という盾を取ってしまったら遥かに悲惨な事態が起きてしまう「厳しい現実」を見ないでいるわけにはいかないのだ。
この問題は、平和主義者が、自衛隊を認めるかどうか?や、「抑止力」が厳然と存在する事を認められるか?という問題と根は同じだろう。

この問題を松竹さんが「抑止力の考え方」という記事で論じているので、参考にしてほしい。

これは、「オバマ氏のノーベル賞受賞演説」という記事でも書いた事にも同じく通じる問題だ。

現実は、外国軍が即時撤退すれば、タリバンが確実に勝利してしまう。そうすると、アフガン和平を願い、和解プログラムや復興プログラムに協力してきた多くの人たちがどんな目に遭うだろうか?加えて、女性の人権が再び否定される事も懸念される。そしてオバマが一番恐れているのは、テロ戦争に敗北し、アフガンがタリバンの国に逆戻りし、アルカイダに安住の拠点を与えてしまうこと。その結果、世界中にテロの脅威が蔓延し、とりわけ核テロの脅威が現実化する事だ。これは、アメリカだけでなく、国際社会にとっても重大な脅威であることは間違いない。

では、オバマ戦略で、アフガン和平が実現する可能性があるのだろうか?

これについて、伊勢崎氏は、第一章で、「アフガニスタンの現状とオバマ戦略」について分析している。
ここでは、東大作氏の「平和構築」でも示されていたアフガン問題の複雑さ、和平への道の困難さが、さらに具体的、現実的によく分かる。
オバマはなるだけ早期に決着をつけようと確実な策が無い中で苦しんでいること。増派は、アメリカ国防総省が「増派しても勝利の保障はない。しかし増派しないと確実に負ける」と考えているからであること。テロ戦争を終わらせるには、パキスタンとの関係が決定的であること。イラクの「成功」をアフガンにと考え、「新国軍」を強化しようとしていることなどが示される。

その上で伊勢崎氏は、今のオバマ戦略では、アフガン和平を実現するのは無理だろうとその理由を述べている。

特に決定的なのは、「人心掌握」に負けている点だと指摘する。
これは、1万7千人を増派してまで成功させようとした大統領選挙の投票率が結局半減し、対テロ戦の主戦場である東南部で最低を記録したことからも分かる。

現在、タリバンはアフガニスタン国土の半分以上を「実効支配」していると言われているそうだ。
アフガン新国軍兵力が9万、警察を含めると15万、米軍を含むNATO多国籍軍は10万以上あり、加えて高度な空軍力を持っていながら負けそうなのだという。
たかだか、自動小銃やロケット砲を携帯した歩兵ベースの戦力しかないタリバンにだ。
それは、結局「人心掌握」戦に負けているからだと、伊勢崎氏は指摘する。

だからイラクで行ったような「敵との対話」も進まない。
確かに、自分が勝てそうな時に、負けそうな側からの対話に応じる必要などない。

東氏も平和構築においては、和解プログラムをコーディネートする「外部アクター」が現地の人からどれだけ信頼されるかが成否の鍵を握っていると述べていたが、ここで完全にタリバンに負けているということだ。

では、この全く展望の見えない状況を打開する方法が本当にあるのだろうか?

<2へ続く>


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